コイウタの真相!辻三蔵の「ウィークエンダー。「キャッシュコールマイル遠征記」前編!
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 「コイウタを無事に日本に連れて帰ることができる。最低限の仕事はできたよ」キャッシュコールマイルの翌日、奥平師はほっとした表情で話していた。
 キャッシュコールマイルコイウタは最下位に敗れた。しかし、今回はレース前に出走が危ぶまれる事態に追い込まれていた。
 コイウタはレース当日の朝、主催者側からスクラッチの要請があった。現地の獣医が「まともにダクを踏めない状態では出走させることはできない。レース中に故障したら責任が取れないのでスクラッチにする」と申し出があった。
 しかし、陣営にとっては寝耳に水の話だった。ダクを踏んだときにぎこちなく見えるのはこの馬の癖だ。普段の調教の様子を見ていれば、いつもと変わらない状態なのはわかる。脚元を故障していたら、治療の記録があるが、それも全くない。奥平師は懸命に脚元が正常な状態であることを訴えた。
 陣営の必死の訴えにより、最終決断は現地の獣医委員長に委ねられた。そこで急遽、コースでキャンターをすることになった。「ちょっとでも変なところを見せたら、出走取り消しになる。大変なプレッシャーがかかる中、新畑さん(調教助手)は普段と同じキャンターをしてくれた。新畑さんのおかげで開催者側も出走を認めてくれたよ」と奥平師は安堵の表情を浮かべていた。
 しかし、いくらナイター競馬とはレース当日にキャンターをするリスクは大きい。普通、レース当日は体をほぐす程度に引き運動だけで済ませるものだ。しかし、キャンターをすれば、ウォーミングアップはもちろん、クーリングダウンにも時間をかけなければいけない。ましてや、今回は緊張感の中、何度もダクを踏み、キャンターで走らせた。一旦、昂った気持ちを落ち着かせなければいけない。本来ならコイウタは内田博騎手と一緒に芝コースのスクーリングをする予定だった。しかし、コイウタのケアに集中するために中止になった。
 そして、コイウタの出走準備が整い、奥平師はホテルに帰り、ジョッキーとの打ち合わせも済ました。しかし、競馬場に着いた瞬間、またもや予期せぬ事態が待ち受けていた。(明日に続く)
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