自己責任!辻三蔵の「ウィークエンダー」。
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競馬を生業としている職業として、馬券は「自己責任」と考えている。様々な情報を聞いていたとしても、馬券を買うときは自分の判断に委ねる。つまり、惨敗したとしても、その馬券を「選択」した自分が悪いと思う。だから、例え、「落馬」や「不利」があったとしても、自分で責任を取る。
それでも、中には納得できないこともある。東京2日目3R2歳未勝利(芝1400m)のアイアムジャンヌだ。5秒9差のタイムオーバー負けなのだから能力がないのかもしれない。しかし、単勝4番人気(1,130円)と穴人気になっていたこと。オーナー、調教師の期待が大きかったことを思えば、せめて、未来に希望を持てるレースをして欲しかった。アイアムジャンヌはビッグレッドファームで「3本の指に入る」ほど、坂路で動いていた。その期待の大きさに堀紘一オーナーは知り合いの女性に名前をつけて貰った。先日、オーナーが名付け親の女性を競馬場に招いたときに、横山典騎手と話をする機会があった。そのときに横山典騎手は気さくに歓談したそうだ。その縁もあって、今回、騎乗することになった。
管理する奥平調教師は「ビッグレッドファームでは古馬をアオッていたように、仕上がりは申し分ない。元々、デビュー前から期待していたし、このデキで勝負にならなかったら、芝が敗因だな」と気合が入っていた。パドックではプラス12キロと増えていたが、胸前の筋肉が発達して、体に厚みが出ていた。新馬戦(2番人気9着)のときよりも頼もしく見えた。
しかし、レースではスタートで出遅れると、鞍上は無理に追いかけることもなく、ポツンと最後方を追走する。前半3F36秒0と芝1400mではスローペースだったが、馬群から引き離される一方。直線では離れた最後方でゴールインした。11着馬とは約20馬身差。最初は故障を発症したのかと思ったが、脚元は無事だ。ただ、このレースでアイアムジャンヌの馬券を買った人は失望するだろう。私もその一人だ。ノリさんはレース後、「芝ではスピードが上がらない」と話していた。芝向きでないのなら仕方がない。しかし、行かせる気もなく、スタートからゴールまで「馬なり」のままだった。体が太かったのか、出遅れが敗因なのか、走る気がないのか、これでは芝適性以前の問題だ。
1800勝ジョッキーのノリさんが言うのだから「芝はダメ」なのだろう。それなら周りが納得するような負け方をして欲しかった。私は競馬を生業としている。だから、馬券は「自己責任」だ。選択して、買った自分が悪いと、割り切れる。しかし、中には馬券抜きで、期待していた人もいる。ノリさんのおかげで競馬に興味を惹かれた人が今回のレースでどれだけ失望しただろう。もしかしたら、競馬を知らない友達にも話していたかもしれない。期待と希望に満ち溢れていたレースが絶望に変わったとき、彼女がどんな思いをするのか。負けたとしても、次、競馬場に見に行こうと思うレースをして欲しかった。リーディング上位ジョッキーは年間1000鞍前後、騎乗する。ジョッキーにとっては1000分の1かもしれないが、携わる人間にはそのレースが全てかもしれない。
ノリさんはオークスのときに、コイウタの命を救った。ノリさんでなければ、コイウタは命を失っていただろう。馬本位主義のノリさんだからこそ、できることだ。私もノリさんが乗るメジロライアンを見て、競馬ファンになった。ノリさんはファンに夢を与えられるスタージョッキーだ。それだけに今回の騎乗は残念だった。
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