勝つことは偉いことだ。

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2018年7月東京ドームで登板した岡田明丈投手

2016年ドラフト1位で入団した岡田明丈は、

在籍した3年間、セリーグ優勝の経験しかない。

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マツダスタジアムには毎年200万人を超える大観衆が訪れる。

3ボールなど投手不利なカウントになれば、

観客席から拍手が起こり、励ましてくれる。

現役時代に優勝できないまま引退する選手が多い中、

恵まれた環境で育った。 

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しかし、4月11日(木)ヤクルト戦2回表。

先頭打者の7番村上から4者連続四球で押し出し。

9番寺原、1番太田には1球もストライクが入らず、

観客席から怒号と悲鳴が飛び交った。

拍手が起きたのは押し出しする前の1度だけだ。

岡田明丈の突発性四球病は今に始まったことではない。

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2017年8月マツダスタジアムで登板した岡田明丈投手

「甲子園の悪夢」と呼ばれた2017年5月6日(土)阪神戦。

5回表の時点でカープが9対0と圧倒的なリードを奪いながら、

先発岡田が突如乱れて9点差を逆転された。

この試合で首位陥落。

過去に9点差以上の逆転負けしたチームに優勝例はない、

という現実をつきつけられた。

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2017年セリーグ2連覇したときのTAUひろしまブランドショップ)

あれから2年。

連敗阻止の期待をかけられた岡田は、

重圧に押し潰されて自壊した。 

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2017年春、マツダスタジアムで登板した岡田明丈投手

岡田は昨年後半から先発失格の烙印を押されて、

クライマックスシリーズ日本シリーズではリリーフに回っていた。

今年のオープン戦も調子はあまり良くなかったが、

過去3年の実績を買われてローテーションに入った。

 しかし、現実は厳しかった。

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2018年7月東京ドームで登板した岡田明丈投手

打線の援護で勝てた昨年までとは違う。

勝利を呼び込むためには自らの投球で、

野手を鼓舞しなければならない。

先発2戦目で2軍降格。

 昨年は、不調に陥った薮田和樹を4月30日まで1軍に置いたが、

復調の兆しをつかめぬままシーズンが終わった。

薮田の反省を生かした形だ。

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2017年春、マツダスタジアムで登板した薮田和樹投手

 佐々岡真司投手コーチの「先発10人構想」が実を結ぶときがきた。

2軍で先発調整していたアドゥワ誠

昨年は1軍で登板機会がなかった矢崎拓也が1軍昇格。

複数イニングのリリーフ登板で無失点に抑えた。

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2018年8月マツダスタジアムで打席に立つアドゥワ投手

新外国人のレグナルト(7試合8イニング、防御率0.00)、

楽天から移籍してきた菊池保則(5試合6.2イニング、防御率2.70)は、

ビハインドゲームでも集中力を切らさず、試合を作った。 

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貴重なリリーバー・菊池保則投手(背番号59)

 セリーグ3連覇の陰で懸案だった、

投手陣の立て直しがシーズン序盤に出た。

常勝球団の再建期が緩やかではなく、いきなり訪れた。

圧倒的な打撃力で勝ってきた「逆転のカープ」はもう存在しない。

緒方考市監督が就任以来、掲げている

「投手を中心とした守り勝つ野球」に変革する好機だ。

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2011年夏、サードコーチャーを務める緒方現監督

昨日の試合では3回裏から松山弘平の守備位置を1塁から左翼に移した。

1塁守備でセリーグ最多の4失策。

今年初めて左翼を守り、6回裏2号2ランを放った。

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4月上旬から投手編成を含めて再建を図る。

接戦の勝ち試合に登板するのは一岡竜司フランスア中崎翔太

特に2015年から4年間257試合(1年平均64試合)に登板した、

クローザー中崎翔太はセーブシチュエーション限定。

勝ち試合を確実にモノにできるよう、疲労を最小限に抑える。 

昨年までは多少のビハインドでも勝ちに行く姿勢を示したが、

勝ち試合、僅差の試合、負け試合の分業制を推し進める。

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 カープファンは昨年までとは違う現実を受け止めている。

観客席からの怒声、悲鳴にはいろいろな思いがある。

加熱するチケット争奪戦を制し、

もしかしたら今年最初で最後のマツダスタジアムでの観戦が、

不甲斐ない試合だったら悔しくて悲しくなる。

マツダスタジアムには様々なアトラクションがあるが、

一番楽しいのはカープが勝つことだ。

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「勝つことは偉いことだ」(将棋・塚田正夫名誉十段)

勝利は偉大であり、尊敬すべきこと。

勝つためには並大抵ではない苦労も必要だ。

この言葉の重さを実感している。

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