天王山

今年最後のセリーグ天王山。
広島対巨人の23回戦は「絶対に負けられない広島」と「負けてもいい巨人」との心理的余裕の差が出た。
巨人は1点ビハインドの8回表。
先頭打者の亀井がヒットを打つと、代打大田が告げられた。
1点を取りにいくなら井端、一発長打を狙うならロペスの選択肢もあったが、プレッシャーのかからない場面で大田のひと振りに賭けた。
登板前の5試合で10失点(自責点10)を喫している中田廉が追い詰められた形で放った甘いスライダーを捕らえられて逆転ツーランとなった。

しかし、これが直接の敗因ではない。
投手陣は四球が絡んだ失点、バッテリーミス、守備ではピンチの場面で玉際の弱さが重なり、攻撃陣も勝負所でバントが決まらず、走塁ミスが目立った。
プレッシャーのかかる試合で自滅した形になった。

恥ずかしながら「優勝」がかかった試合を戦うのはカープナイン、カープファン、そして首脳陣にとっても初めての経験だ。
「勝ちを急いで、勝機を逸した」天王山の敗戦をどう生かすのか。
「絶対に負けられない戦い」で敗れた現実を受け止めない限り、先へは進めない。