まだ、まだまだ…大丈夫!ガンバレ!辻三蔵の「ウィークエンダー。岡部さんの声も空しく、ディープが負けた。
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 ディープインパクトが負けた。しかも今まで自分より後ろにいた馬に差されたのは初めてだった。衝撃的な敗戦だった。パドックでテンションが高かったが、これはいつものこと。シロッコのように激しく発汗していなかったので見た目ほど、イレ込んではいなかった。しかし、武豊騎手が観客席に向かって、ひとさし指を立てたジェスチャーを何度もしたのは気になったが…。
 その証拠にレースでは今までで一番いいスタートを切った。そのために行かざるを得なかったが、2番手でも折り合いがついていたように初めて好位につける割りには落ち着いていた。シロッコが前に出たときにも3番手に下げて、後ろに入れたし、今までで一番、器用な競馬ができた。前にシロッコを見つつ、後ろのハリケーンランを牽制しながらの競馬。直線でも残り300mまで追い出しを我慢していたし、ハリケーンランを内に押し込めた瞬間、武豊騎手はシロッコを交わせば、勝てると思っただろう。だからこそ、まさか、ディープの後ろにいたレイルリンクに差されるとは思わなかった。
 確かにディープは岡部さんが言うように「外から来られる経験は初めてだった」。それだけにレイルリンクに交わされた瞬間、ディープ自体が戸惑ったのかもしれない。日本では馬体を併せて競り合う前にライバルを交わしていただけに、自分が差されることを想像もしていなかったのだろう。
 結局、正攻法で勝ちに行った結果、シロッコを負かして、ハリケーンランの追撃を封じ込めたが、ファーブル厩舎の第3の男にやられた。しかもレイルリンクに交わされて気を抜いたところを、ルメール騎乗のプライドにも差された。ただ、レースが終わった後、息が戻るのが早かったようにまだ、余力があった。市川厩務員に引かれてクーリングダウンしているときの歩様は実に力強かった。池江朗調教師がインタビューで「いい経験ができた」と話していたようにディープの新たな一面が見えた。
 勝ち時計は2分31秒7。晴天で良馬場といえども、時計は日本なら不良馬場並みだ。それでも初めて、勝ちに行く競馬をして3着した。不得手の馬場で当面のライバルを倒したのだから今回は展開のアヤと言えるかもしれない。しかし、まだ、やれることがあるのも確かだ。池江朗師は「この経験を生かして今後に繋げていきたい」と話した。武豊騎手は合田さんのインタビューにもしばらく無言を貫いた。誰もがこのままでは終われないと思ったはずだ。
 ディープにはもう一度、凱旋門賞に挑戦して欲しい。ジャパンC有馬記念で外国馬と対戦しても、日本の高速馬場なら上がり3F33秒前半の脚を使えるだけにどんな馬にも負けない。しかし、関係者もファンも切望しているのは凱旋門賞で勝つ姿だ。ディープはロンシャンで飛ばなかった。しかし、我々はディープが更に大きく羽ばたけることを感じた。今日の悔しさは来年、大きな喜びに変わるはずだ。
ディープインパクトは今までマスコミに作られた英雄だった。しかし、世界で負けた悔しさを共有することで国民的英雄になれる。今日からディープ伝説第2章が始まる。私は10月2日を決して忘れない。
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