「万馬券をなめるな」辻三蔵の「ウィークエンダー
 ヒューバーがホームランを打つと、野村謙二郎は「万馬券」と例える。競馬評論家という立場として野村謙二郎に言いたい。万馬券をなめるな。万馬券は狙って「当てる」ものであって、たまたま「当たる」ものではない。野村謙二郎のヒューバー起用は偶然性に頼ったもので理論も根拠もない。もし根拠があるなら、元・野球評論家として説明する義務がある。
 私は「穴の池田」でおなじみの『競馬研究』池田勇考さんや「穴のアベコー」こと、阿部幸太郎さんと一緒に『穴党On Line』に予想を載せているが、穴党と名乗っている以上、1日1本、万馬券を当てることを信条としている。
 先週土曜日は『競馬道モバイル』の当日予想(札幌11R◎ヒラボクスペシャル11番人気3着)で3連複24,150円(15点)が的中して、6打数(レース)2安打(的中)1本塁打万馬券)で終えた。その日、グリーンチャンネル『KEIBAコンシェルジュ』に出演したが、日曜日は中山メイン・京成杯AHまで5打数0安打。どんなに一生懸命予想しても当たらないと意味がない。結果が全てだ。京成杯AHで◎キョウエイストーム(7番人気)が2着したので馬連3,650円(6点)が的中したが、当たった嬉しさよりもホッとしたのが正直な感想だ。日曜日は中山の最終レース(馬単1,340円5点)を含めて7打数2安打だったが、万馬券を当てる自分の仕事はできなかった。
 ヒューバーは巨人3連戦でスタメンに入ったが、3試合で10打数1安打1打点6三振。4番に座った土曜日の4三振もヒドかったが、7番に打順が落ちた日曜日は語る言葉すらない。2回表ワンアウト2塁、ヒューバーが放ったピッチャーライナーはスローモーションのように、ゴンザレスに向かっていく。あまりの勢いのなさにゴンザレスの捕球がワンバウンドに見えたぐらいだ。長打力を期待しての起用らしいが、内角の直球にバットをへし折られて、打球がピッチャーまで届かない。4回表ツーアウト1、3塁では巨人バッテリーに手玉に取られて、最後は外角の直球を当てに行って空振りした。もはや、バットにボールが当たらないようでは万馬券も出ない。76試合で打率.221、203打席(172打数)で本塁打7本。野村謙二郎も打てないのがわかっているから、たまにホームランが出たときに万馬券と例えるのだろう。もし、信頼して使っていれば、6回表のチャンスに代打の切り札・前田は出さない。監督も期待していない選手をなぜ使うのか、理解に苦しむ。
 これでカープは126試合で49勝75敗2分。借金は今年最多の26。勝率は4割(.395)を切った。2007年・ブラウン2年目(60勝82敗2分.423)、2005年・山本浩二5年目(58勝84敗4分.408)、1999年・達川1年目(57勝78敗0分.422)よりも勝率は低い。過去10年で最悪の成績だ。
 私が野村謙二郎なら今年はチャンスと捉える。ここまで成績が悪ければ、思い切った世代交代ができる。105試合(316打席)に出場して、打率.247、11本塁打、33打点の嶋に赤ゴジラの輝きはない。ヒューバー、嶋を使って勝てばいいが、調子を落としていた巨人に3連敗を喫している。それならば、1軍に昇格した丸をスタメンで使ってもいいだろう。1塁は會澤翼でもいいじゃないか、3塁はファームにいる堂林、松本を上げてもいい。残り18試合、優勝争いしている上位チームとの対戦で自らの課題を知り、経験を積む最高の機会だ。満身創痍の栗原を休ませることもできる。しかし、怪我人の栗原に強行出場させる野村謙二郎を見ていると、来季の希望が全く見えてこない。野村謙二郎は「いつも同じ負け方をしている」と繰り返すが、開幕から同じ采配をしていれば、当然の結果だ。
 6月26日・宝塚記念当日、4試合無安打の4番ヒューバーがホームランを打ったとき、野村謙二郎は「今日は宝塚記念で絶対、万馬券が出てるよ」とおどけた。ナカヤマフェスタを侮辱するな。宝塚記念を勝ったナカヤマフェスタは陣営が最高の準備を整えてレースに臨んでいた。結果的に8番人気と評価は低かったが、陣営は自信があったのだろう。そうでなければ、5月初めに凱旋門賞に一次登録はしない。宝塚記念で現役最強牝馬ブエナビスタアーネストリードリームジャーニーを退けたレース内容は完勝だった。フロックではないのは凱旋門賞の前哨戦・フォア賞で2着したことからもわかる。まぐれで打ったヒューバーと一緒にするのはナカヤマフェスタに失礼だ。野村謙二郎には野球はもちろん、競馬も語る資格はない。