半歩前へ

 「人生を変えるぐらいの意気込みであと半歩前に踏み込んで欲しい」
 DeNA対広島8回戦4対3でDeNA1点リード。6回裏ワンアウト2塁バッター迎祐一郎
 ピッチャーは右打者の被打率.067の加賀繁。TSSテレビ新広島解説の達川光男さんは外角のスライダーにバットが届かない位置にいる迎に苦言を呈した。バッターボックスの位置を変えなかった迎は外角のスライダーにタイミングが合わず、あえなく三振した。
 迎祐一郎は「伊万里イチロー」と呼ばれて93年にドラフト3位でオリックスに入団。07年にウエスタンリーグ三冠王を獲得した打力を買われて、10年にカープに移籍した。
 チャンスを貰いながら生かし切れず、未完の大器も今年でプロ14年目。左投手専門の起用だったが、野村謙二郎監督の期待は大きく、右投手の井納でも先発スタメンに抜擢された。2打数無安打で結果を出せず、それでもチャンスで打席が巡ってきた。
 しかし、ピッチャーがサイドスローの加賀に変わっても本格派の井納と同じスタンスでバッターボックスに立っていては打てるわけがない。自分のバッティングスタイルを貫くのは構わないが、13年間結果が出なければ、人生を変えるために半歩ベースに近付く決断もあったはずだ。
 失敗を恐れては成功を掴めない。リスクを取りに行く勇気が必要だ。それは私達予想家にも当てはまる。
 NHKマイルCでは京成杯(1番人気10着)で無印にしたフラムドグロワール(8番人気3着)に本命を打った。3カ月半ぶりの実戦というリスクはあったが、京成杯の敗因が調教不足と明確だったので、万全の調整ができた今回は実力を評価して本命に推した。
 目下3連勝中の勢いを買って、▲インパルスヒーロー(6番人気2着)を3番手にしたのは良かったが、勝ったマイネルホウオウを無印にしたのが痛恨だった。本命に推したスプリングS(11番人気3着)時の調教内容と比べて、厳しくジャッジしたのが裏目に出た。
 それでも後悔はしていない。考え抜いた末に、因縁のあるフラムドグロワールで勝負できたことを自信にしたい。今週のヴィクトリアマイルではあと半歩前に踏み込んで、特大ホームランをかっ飛ばしたい。