ひとときの幸せ

 昨日は東京に帰宅後、カープが1面トップ記事だったデイリースポーツとサンケイスポーツ、2、3面のカラー記事を独占したスポーツニッポン前田健太の独占手記が載っていた東京スポーツを購入。宅配で届いた中国新聞を並べながらニンマリしていたが、5対1で中日に完敗した試合を見て現実を思い知った。
 たかが17年に1度のAクラスで調子に乗るなよ。昨年まで11年連続Aクラスだった中日に頭をはたかれた感じだ。
 最多勝を目指すエース前田健太はセンター返しに徹した1番藤井の強烈な打球を右膝に受けて、ベンチに下がった。38度の高熱を押して奮闘した21日の巨人戦から中4日での登板。あれだけ完璧に弾き返された内容からも本調子ではなかったのかもしれない。次回の登板日は未定だが、タイトルを狙いに行くのか、それともクライマックスシリーズに向けて体調を整えるのか、ハッキリ決めないといけないだろう。
 それでも前田健太はマウンドに立ち続けて5回3失点で踏ん張ったが、打線は拙攻を繰り返し、守備でもほころびが見えた。
 1塁手キラとの併用で問題になっていた左翼手エルドレッドの拙守が今回も致命的な追加点に繋がった。4回裏ツーアウト1塁から堂上剛裕の平凡なレフトフライにスライディングキャッチを試み後逸(記録は適時3塁打、1失点)。意気消沈した前田健太は続く岩崎にセンター前ヒットを打たれて3点目を奪われた。
エルドレッドは9月5日の中日20回戦(8対3で中日勝利)で、4回裏ツーアウト2、3塁で高橋周平のレフトライナーの目測を誤り(記録は適時3塁打、2失点)、9月18日の阪神22回戦(9対1で阪神勝利)では1回裏ツーワウト1、2塁で新井貴浩のレフトライナーにスライディングキャッチを試み落球している(記録は適時2塁打、2失点)。
 守備力がないからこそ、ランナーを置いている場面であえてギャンブルプレーを起こす必要は全くない。最低限のリスクに抑えることを外野守備走塁コーチが徹底的に指示するべきだ。
 反撃を狙った6回表にはノーアウト1、2塁から5番梵のセンターフライで1塁からタッチアップを試みたエルドレッドが2塁でアウトになる暴走。ワンアウト1、3塁の場面がツーアウト3塁になってしまっては打つ手がない。走力がない選手が積極的な走塁を試みる点は評価したいが、時と場合による。3A時代に一緒にプレーした桑田真澄が「本当に性格が良くて、ナイスガイですよ」と褒めていたエルドレッドだが、試合の流れを読む洞察力を教え込む必要がある。
 前田健太東京スポーツの手記で「今は嬉しいというよりもやっとスタートラインに立てたという思いです。クライマックスシリーズ進出が決まったことに達成感を感じていては駄目だと思う」と書いていた。まさにその通りで、Aクラスでも借金3という現実。凡ミスが即失点に繋がる緩み具合ではクライマックスシリーズを勝ち上がるどころか、また来年から暗黒時代が始まる。
 ひとときの幸せだったが、昨日の敗戦で目が覚めた。チームもファンも気持ちを引き締めて明日のヤクルト戦に臨まないといけない。