一杯の茶

sanzo20043212013-10-02

 旅に出たくなった。
 遠くには行けない。心の旅である。
 ある日の月曜日。
 散歩がてら吉祥寺のジュンク堂書店に足を運び、週刊ベースボール別冊紅葉号『広島東洋カープCS初出演記念号』、『広島アスリートマガジン10月号』を購入した。クライマックスシリーズ進出の余韻に浸りながら、カフェでホットチョコレートを飲む。心が少し温かくなった。
 場所を変えると、気分も変わる。それに飲み物を入れると、気持が変わる。
 リフレッシメンツ(refresh-ments)という英語がある。リフレッシは生き返った気分にするという動詞。それを名詞にしたリフレッシメンツは茶菓のことになる。口にものを入れることで、頭の中にあるものを流し、整理できる。思考の整理とはいかにうまく忘れられるか、である(外山滋比古『思考の整理学』より)
 忘れられないこともある。忘れてはいけないこともある。それでも忘れないと、前には進めないこともある。
 「一杯の茶のためには世界など滅びてもよい」と書いたのはドストエフスキーだが、一杯の茶のおかげで人生が救われることもある。