道はふたつある。過去から逃げるのか。それとも過去から学ぶのか!*1 辻三蔵の「ウィークエンダー。「大健闘」で満足しては世界の壁は越えられない。 
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 キングジョージVI&クイーンエリザベスSで3着に敗れたハーツクライ。着差は1馬身とはいえ、完敗だったと言えるだろう。鞍上のルメールは「ラスト100mで疲れが出た。(先着した)2頭は1カ月前にレースを使っているけど、ハーツは4カ月ぶりだったからね」と敗因を挙げた。
 確かにハーツクライは残り100mまで世界王者だった。しかし、残り100mで脚色が鈍ると、手応えが悪かったはずのハリケーンランに内から差されて、一旦、交わしたエレクトロキューショニストに差し返された。上がりの速い日本の馬場なら押し切っていたかもしれない。しかし、アップダウンが激しく、コーナーの角度が鋭角で息が抜けないアスコット競馬場はコース形態そのものがハードだ。以前と比べて、整地されているとはいえ、日本やドバイと比べれば、やはり芝は重い。しかも直線でビッシリ叩き合えば、最後に底力の差が出る。
 グリーンチャンネルで解説をしていた岡部幸雄さんは「日々の調教での鍛錬や、ハードなレースをしている差が最後に出てしまった」とレースを振り返った。ハーツクライが世界トップレベルにいることはわかった。しかし、残り100mでは「世界の壁」を見せ付けられた。橋口調教師は「体調はグッドだったけど、ベストではなかった」とレース後、語った。「気がいいから、追い切りをやれば、仕上がる」と社台ファーム代表吉田照哉氏は言っていたが、ドバイシーマクラシック以来、4ヶ月ぶりの実戦だったのが最後に響いたのかもしれない。4ヶ月ぶり以上の休み明けの成績は[0111]。ドバイシーマクラシック有馬記念以来、3ヶ月ぶりだったが、有馬でピークに仕上がっていただけに息を整えるだけで良かった。
 今回も確かに体は仕上がっていたが、中身は「ベスト」ではなかった。藤沢和師は「100回のケイコより1回の実戦」と言うように、実戦を叩いていた方が最後の伸びが違っただろう。ハーツクライは残り100mまで間違いなく世界王者だった。しかし、最後の1馬身は実戦で厳しい競馬を体験していた差が出た。だからこそ、この敗戦を「惜しい」で終わらせてはいけない。「大健闘」で満足していては世界王者にはなれない。
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*1:劇団四季ミュージカル「ライオンキング」より