涙…辻三蔵の「ウィークエンダー
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「辻さん、大久保(洋吉)先生が心配してましたよ」水曜夕方、厩舎取材から帰ってきた後輩の小渕高慶トラックマンに言われた。「今日は午後回りというよりも、挨拶回りでしたね」といつも明るい小渕がしんみり話す。
 水曜午後の広報会館は活気に溢れていた。美浦に支局がない『馬』社だけが専門紙記者室を利用していたが、他社のトラックマンも来て、いつも賑やかだ。「金はないけど、元気はある」居心地の良さは専門紙の中では一番だった。
 わずか1週間後、こんなに静かになるとは思いもしなかった。皆、口数が少ない。「来週はもっと寂しくなるんだな」と元『馬』社の恩田さんはポツリと呟いた。
 木曜日、いつも通り、午前11時半に南馬場調教スタンドに行った。大久保洋厩舎の調教が終わる頃、調教師席に訪れるのが日課だ。大久保洋厩舎は日曜日に出走予定の馬は木曜日に追い切る。普段なら坂路で追い切りを見てから話を聞くが、今日は挨拶をしに来た。洋吉先生にフリーで取材していくことを伝えると、「いま、競馬業界は多くの問題を抱えている。これからは競馬ジャーナリズムが重要になってくる。お前には期待しているから、頑張れ」と励まされた。正直、泣きそうになった。
 奥平雅士調教師からは火曜日の朝8時に電話がかかってきた。「辻ちゃん、大丈夫か」その言葉だけで嬉しかった。北馬場の調教スタンドに挨拶をしに行っても、皆、温かい言葉をかけてくれる。私は周りの人に支えられて生きているんだな。改めて実感した。悔しいのはそのことが『馬』社がなくなってからわかったことだ。最近、涙脆くなっている。
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