「あさイチ辻三蔵の「ウィークエンダー
「競馬が厳しいので勝つのが大変ですよ」北村宏騎手がため息をついた。震災後、阪神、小倉の2場開催になってから、本場にあたる阪神開催は東西対抗戦の様相を呈している。東西のトップジョッキーが一堂に集まり、関東の好成績馬が遠征することで出走馬のレベルが高くなった。そのため、レースでは馬群が密集してスペースがなく、シビアな戦いが繰り広げられている。勝つことの難しさはトップジョッキーの蛯名(勝率1.9%)、武豊(勝率2.9%)、柴田善(勝率2.9%)、藤田、安藤勝(勝率6.3%)の1勝、松岡騎手の未勝利(47戦)に表れている。北村宏騎手は関東所属では内田騎手(4勝)に続く3勝を挙げているが、その内、2勝が3歳未勝利。「3歳未勝利は掲示板を外すと(5着以内に優先出走権)、いつ出走できるかわからないから必死ですよ」と切迫した表情で話す。
 しかし、今週水曜日に4月23日から始まる東京、新潟開催の番組が発表されたことによって事態は変わった。重賞出走馬、優先出走権の期限が切れる下級条件馬を除けば、東京、新潟まで待つ選択肢ができた。東京、新潟開催のメドが立ったことで長距離輸送をしてまで阪神に遠征する理由がなくなった。
 3月19日以降、東西出走馬の比率は関東630頭(シェア46.7%)、関西713頭(シェア52.9%)とほぼ五分だったが、今週の阪神は関東157頭(シェア39.3%)、関西242頭(シェア60.5%)と関西馬の比率が遥かに高い。ガチンコ対決なのは東西ががっぷり四つに組む重賞(東4勝:勝率5.8%、連対率13%、西8勝:勝率6.8%、連対率12.7%)と3歳未勝利(東13勝、西12勝)だ。特に3歳未勝利で2度目の阪神遠征を敢行した上位入選馬はメイチの勝負と見ていい。成績上位馬ほど、関西への再輸送のリスクを考えれば、今回で勝っておきたい。
 特に関東馬は1〜3Rの未勝利で成績がいい。1R4勝2着5回(連対率16.4%、西3勝2着2回:連対率8.9%)、2R4勝(勝率7.0%、西3勝:勝率5.6%)、3R3勝(連対率13.2%、西4勝:連対率11.7%)と1〜3Rまでの勝率は関西馬を上回る。ある調教師は「栗東から当日輸送で入る関西馬は輸送直後で疲れが残る可能性はある。前日輸送でひと息つける関東馬の方が有利かもしれない」と話す。関東馬は、あさイチが買いだ。