辻三蔵のウィークエンダー「小さな大巨人」

 ディープインパクトは小さな大巨人!辻三蔵の「ウィークエンダー
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 2年間の競走人生を全うしたディープインパクトディープインパクトが偉大なのは一度もリタイアせず、G1戦線を勝ち抜いた頑強な体だ。この2年間でアドマイヤジャパンシックスセンスといった同世代のライバルは故障で引退した。インティライミアドマイヤフジは脚元不安で戦線離脱して、マイネルレコルトローゼンクロイツフサイチアウステルは長期休養で復帰のメドが立たない。
 古馬勢もディープと戦ったリンカーンバランスオブゲームハーツクライが既に引退している。ディープインパクトの戦いは両刃の剣だ。相手に与えるダメージも大きいが、自身への負担もかかる。
 にも関わらず、ディープは3歳時は三冠レースから有馬記念に進み、4歳時は古馬の王道を歩んだ。無事是名馬、この言葉を体現した馬はいまだかつていなかった。池江泰郎調教師を初めとしたスタッフの尽力は並大抵のものではない。同じ7冠馬のシンボリルドルフテイエムオペラオーも晩年は寂しい成績に終わった。しかし、ディープはデビューから引退まで最高のパフォーマンスでファンの期待に応えた。
 特に凱旋門賞(3着失格)→ジャパンカップ(1着)→有馬記念(1着)のローテーションはダビスタの世界でも実現は不可能だ。ピークの状態を保って、尚且つ結果を残す。ディープインパクトの強さばかり語られるが、無事に走っているだけでも奇跡に近いことだ。
 有馬記念は前走よりプラス2キロ。微増だったが、数字以上に腹回りがユッタリ見えた。パドックでも落ち着いていたし、本馬場入場も一番最後に入った。菊花賞では歓声を避けるように真っ先に入ったことを思えば、歓声を楽しむ余裕があった。この時点で勝負は決まった。
 結局、最終追い切りで手前を替えずに逆手前で走り切ったのは気持ちにゆとりがある証拠だった。レースでもスタートを決めて、道中は折り合いがついた。武豊騎手の意のままに競馬ができる。気性の難しさを内包していたディープは引退レースで完全体になった。
 凱旋門賞でピークに仕上げた体を立て直すのに苦心したジャパンカップジャパンカップではギリギリの体つきだっただけに反動が心配だった。しかし、有馬記念では追い切りを併せ馬から単走に変えて、リラックスさせることに専念させた。武豊騎手が直前で追い切るようになったのは負担がかからないようにするためだった。もちろん、以前のように気合が乗り過ぎることがなくなったのもある。
 今までのやり方で成功しているだけに調教方法を変えるのには勇気がいる。ましてや、ディープインパクトほど、結果を求められている馬なら尚更だ。しかし、大一番に向けて最善の方法を選択した。責任は自分が取る。池江泰郎調教師の断固たる決意とスタッフへの信頼がディープインパクトを支えていた。
 今年、池江泰郎厩舎は40勝している。池江泰郎厩舎は24馬房ある。市川厩務員や池江調教助手がディープインパクトにつきっきりで世話ができるのも、残りのスタッフがお互いをカバーして仕事をしていたからだ。ディープインパクトが掴んだ栄光は池江泰郎厩舎全員で掴み取ったものだ。「感動をありがとう!ディープインパクト」その言葉は池江泰郎厩舎のスタッフにも送りたい。 
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