ポケット一杯の幸福辻三蔵の「ウィークエンダー
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 「ジャパンカップダートアメリカ馬を倒したいね」
 マーキュリーカップシャーベットトーンが9馬身差の圧勝をした奥平厩舎。久しぶりに奥平節が戻ってきた。しかし、盛岡へ辿り着くまでが一苦労だった。日曜日の朝、輸送中にシャーベットトーンが乗る馬運車がトラックに追突された。シャーベットトーンは前方部分にいたので無事だったが、馬運車の後方部分がボコッとヘコんだ。普通車ならペチャンコになっていたほどの衝撃だったと言う。高速道路では急に止まれないので盛岡競馬場に到着してからケガをしていないのか、確認した。輸送直後は興奮して痛みを感じていないかもしれない。3時間後にも地元の獣医に再度、診断した。「先週のコイウタに続いてのアクシデントだけに正直、落ち込んだが、とにかく無事で良かった。両者ともに、ケガ人が出なかったのも不幸中の幸いだったね」としみじみ振り返っていた。
 「(マーキュリーカップは)相手に恵まれたとはいえ、時計も速かったし、強い勝ち方だった。先週はコイウタが残念な結果になったけど、1週間後、重賞を勝てるなんて幸せなことだ。秋に向けて賞金を加算できたし、月曜日の内に山元トレセンへ放牧に出した。ブリリアントSで負けたのでマーキュリーカップを使ったけど、これでゆっくり休ませることができる。秋はジャパンカップダート東京大賞典を目標に、シリウスS(9月29日、阪神ダ2000m)か、白山大賞典(10月9日、金沢ダ2100m)で始動するつもりだ。故障もあって、苦労した分、息の長い競争人生を送って欲しいね」と期待を込めていた。
 今週は土曜日に4頭が出走している奥平厩舎だが、脈があるのは新潟土曜12Rポケットビスケットだ。馬主はコイウタと同じ前川清氏(前川企画)。新馬戦(東京ダ1600m)を快勝したときには鞍上の吉田豊騎手が絶賛していた素質馬だ。新馬戦後はフラワーCを目標に調整。1週前追い切りでは坂路で4F48秒7の1番時計をマーク。奥平師も「勝ち負けになる」と期待していたが、無念の除外。その瞬間、幸せがポケットからこぼれ落ちた。
 続く、山桜賞(中山芝1800m)ではまさかのシンガリ負け。しかし、敗因は芝適性云々よりもイレ込みがキツく、レース前に燃え尽きていたこと。除外でピークが過ぎて、テンションが高くなっていた。放牧で立て直した今回はすっかり落ち着きを取り戻した。中間は新馬戦同様、吉田豊騎手がつきっきりでケイコ。自厩舎の追い切りの合間を縫って、熱心につけている。手の内に入れているとあって、絶妙な仕上がりだ。
 奥平師は「仕上がりは問題ない。後は当日の気分次第だな」と慎重な発言だったが、「前走はジョッキーを乗せた瞬間、激しくイレ込んだ。今回はギリギリまで乗せないつもりだ。細心の注意を払って、レースに臨むよ」と準備に抜かりはない。初めての新潟遠征だが、前日輸送なら気持ちが高ぶっても落ち着く時間がある。前走のように自分を見失うことはない。
 ダートで新馬戦を勝ったが、鞍上の吉田豊騎手は「芝も大丈夫」と太鼓判を押していた。フサイチホウオータスカータソルテトーセンキャプテンと3頭の重賞ウイナーを輩出している父ジャングルポケットは全28勝中21勝を芝で挙げている。ポケビがジャンポケ産駒で初めてダートを勝った。素質が高いからこそ、ダートをこなした。平常心で臨めば、芝替わりはむしろ好材料だ。
 「今回は大外枠(18番)から逃げるビュレットライナーを見ながらの競馬になる。当日、落ち着いていれば、勝負になる」と師も改めて期待している。フルゲート18頭中15頭が休み明け。未勝利戦を勝ったばかりのジューシー、アポインテッドボブが人気になっているほどだ。しかし、ジューシーの勝ち時計は同日の2歳新馬戦より遅く、アポインテッドボブはバリバリのダート血統。ましてや、前走(福島芝1800m)で2着したビュレットライナーはコーナーを4回、回る競馬で息が入ったのが好走の要因。大外枠からひと息で走る芝1400mでは息が保たない。3歳馬のマイネルクラッチ、クインズプレイヤーは本質的にはスプリンターだ。人気馬は一長一短なだけに、絶好のチャンスが巡ってきた。幸せな週末だ。
[新潟土曜12R]
◎ポケットビスケット
○クインズプレイヤー
マイネルクラッチ
☆ゲイルタッチ
△ストームシャドウ
△ニシノカイシンゲキ
△サジターリオ
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