無恥

 無恥は罪だ。
楽天との交流戦開幕試合でカープは今季8度目の完封負けを喫した。昨年の交流戦でリーグワーストの50イニング連続無失点、球団ワーストの4試合連続完封負けを食らったときと同じだ。プロ4年目で1勝の左腕に9回途中まで1安打に抑えられて、打線は沈黙した。試合後、野村謙二郎は「ビデオを見て辛島対策をしたけど、対応できなかった」と呟いた。
無知は罪だ。パリーグの先発を読み切れず、指名打者にピッチャー今村を入れたこともあったカープにとって、予告先発は大歓迎だった。プロ4年目の投手なら頼れる球種も少なく、抑えるパターンも限られている。
だからこそ、ピッチャーではなく、キャッチャーの嶋の配球に注目すべきではなかったか。3回まではストレート狙いのカープ打線に対して決め球にチェンジアップを使い、変化球狙いに切り換えた4回からはストレート中心の攻めに変わった。三打席連続三振を喫した堂林に関してはストレートで追い込み、チェンジアップで空振りを取るワンパターンの繰り返しだ。
野球盤のように球場の真上から俯瞰的にゲームを眺めれば、私達ファンでも試合の流れは読めてくる。野村謙二郎は解説者時代に何を見ていたのか。おそらく、球場全体の雰囲気を感じ取る視野もなく、視線の下にある小さなモニターばかり見ていたのだろう。
先発バリントンは9回無失点に抑えて、味方の反撃を信じた。9回裏ワンアウト満塁。一打サヨナラのチャンス。代打前田の絶好のお膳立てが出来たが、それまで全く当たりがなかった丸、堂林を起用してチャンスを潰した。「選手を信頼した」と言えば聞こえはいいが、自分の出番を信じてバットを振っていた前田のプライドはどうなるのか。ここぞの場面で前田を使わなければ、期待に応える術はない。
 無智は罪だ。このままではチームに愛想を尽かしたバリントン、サファテが来年契約する保証はない。ましてや、黒田が帰ってくるなんて夢の話だ。今からでも遅くはない。カープの将来のために身を引くことが野村謙二郎にできる唯一の采配だ。