ベストゲーム

 「私が今年見た中では一番いいゲームでしたね」
 6月6日の広島カープ千葉ロッテ戦(4対1でカープ勝利)はJ SPORTS1の解説を務めた達川光男さんも称賛した今年のベストゲーム。
 5回表ワンアウト、7番岡田のセーフティーバントにダイビングキャッチを試みたバリントンの気迫溢れるプレーが流れを変えた。5回裏ツーアウト1、2塁でバリントンの代打岩本が初球を叩いて同点タイムリーを放った。「初球から甘い球は全部打ちに行く準備をしていた」岩本の集中力が負傷降板したバリントンの負けを消した。
 6回裏に1点勝ち越した後、7、8回表に再三ピンチがあったが、ショート梵の2度のファインプレーがチームを救った。そして、8回裏ツーアウト1、2塁。6番梵がスライダーを狙い撃ちして、2点タイムリーツーベースで突き放した。4番エルドレッド、5番廣瀬が連続三振を食らったスライダーを狙い球に絞った梵の執念が実った。
 達川さんも「梵はベンチ、ウェイティングサークルからブラッドと廣瀬の打席を見て、松永の決め球のスライダーを狙っていた。初球、2球目のシュートを見向きもせずに、待っていたスライダーを一発で仕留めた勝負強さは素晴らしい」と絶賛していた。今日は梵の球際の強さ、勝負所での集中力が勝利に導いた。6月6日はまさに背番号6(梵英心)の日だった。
 それにしても久しぶりの勝利だ。日本ダービーが行われた5月26日以来、実に10日ぶりの勝利。交流戦優勝を目指せる位置だったのが、6連敗で借金は10まで膨らんだ。試合後、達川さんは「バリントンのガッツ溢れるプレーで選手が吹っ切れた。今日の勝ちは大きい。この1勝で乗って行けますよ」と話していた。
 6月2日、ウインズ広島のイベントで共演した大野豊さんはファンのみなさんに「カープの選手に足りないのは緊迫した場面での経験です。いきなり優勝とはいかなくてもまずは3位以内に入り、クライマックスシリーズに進出することが大切。みなさんも悔しい思いをしているでしょうが、シーズンは長いので選手を信じて応援し続けて欲しい」とお願いしていた。
 幸か不幸か、今年の3位争いは借金10前後で繰り広げられている。カープの借金9は中日と並んでおり、勝利数が少ない分、4位だが、クライマックスシリーズ進出のチャンスは十分にある。まずは交流戦の勝敗(7勝10敗)を5割に戻すのが目標。どんな形でもいい。今日のように泥臭い勝利を一つでも多く積み重ねることが重要だ。
 6月6日の試合がチームを変えたベストゲームだった。そう言える日が来るのを信じている。