偏愛

巨人対広島10回戦は1対0で巨人勝利。
今年5度目の1対0での敗戦。
1点差での敗戦は今年14敗目(全36試合16勝20敗)。
先発大瀬良(7回1失点)は今年2度目の1対0での敗戦になった。

先週の6連勝はおそらく「影武者」が采配を奮い、適材適所の選手起用が目を引いたが、今週から「緒方孝市」に戻ったようだ。

今年の緒方野球の象徴がドラフト1位ルーキー野間峻祥への「偏愛」だ。
5月12日の巨人戦は2対1で巨人1点リードで迎えた9回表。
松山ヒット(代走木村)、梵バントでワンアウト2塁。
ベテラン二人で作った同点のチャンスで7番野間をそのまま打席に立たせた。
澤村の速球、フォークボールに全くタイミングが合わず、3球で3塁ゴロに終わった。
速球が得意で粘り強い「代打の切り札」小窪を温存しての「野間優遇策」。
野間が速球派のピッチャーを打てないのは溺愛している緒方孝市が一番分かっているだろう。
「恋は盲目」とはこのことだ。

13日の巨人戦は1対0で巨人1点リードで迎えた8回表。
先頭打者は7番野間。
巨人のピッチャーはセリーグナンバー1の剛球投手マシソン。
高めの速球を3球空振り。あえなく三振に終わった。

マシソンを打てない野間が悪い訳ではない。
澤村を打てない野間が悪い訳ではない。
「育成枠」のルーキーを7番スタメンで使う緒方孝市が悪い。

今年の開幕ダッシュの失敗も「1番野間」が元凶だった。
開幕3戦目から野間を1番で使い、1勝6敗。
初球が空振りかファールはお約束。
四球を選べず、ファールで粘れず、三振を積み重ねていく。
今年の全36試合中33試合に出場して打率.224、1本塁打、打点6。
85打数19安打、三振22、四死球5、出塁率.264
得点圏打率.100(20打数2安打)。
チャンスメーカーにもなれず、ポイントゲッターでも使えない現状だ。

経験値の高いベテラン外野手を差し置いてのスタメン起用は「依怙贔屓」としか言いようがない。
キャンプ中から鈴木誠也と「1番ライト」を競わせて、オープン戦でも結果が出ていないのに「1軍入り」を果たした。
不安を感じたのは開幕直前に行われた「セ・リーグファンミーティング」。
開幕スタメンで「1番ライト鈴木誠也」を発表した後、ドラフト1位を紹介するコーナーでルーキー野間に気を遣う緒方孝市
正直、気持ちが悪かった。

週中の2軍戦の結果次第で15日の横浜戦からシアーホルツ、エルドレッド、グスマンの3人から調子が良い外国人選手を1軍に上げる。

野間にラストチャンスを与えるつもりでスタメンで使ったようだが、同じ育成枠なら鈴木誠也(21試合出場46打数11安打、打率.273、3本塁打)の方がバットは振れている。

緒方孝市は13日の巨人戦で9回表ツーアウト1、3塁で代打堂林を起用した。
普通なら新井貴浩を使うが、よほど怪我の状態が悪いのだろう。
堂林は澤村の速球にタイミングが合わず、三振に終わった。
今年の得点圏打率.000(7打数0安打)。
今まで緊迫した場面で使われたことがない堂林が打てる訳がない。

これで野間を1軍に残せる。
堂林を2軍に落とせる理由ができたと緒方孝市は内心喜んでいるのではないか。

野間が数年後、菊地や丸のようにチームを引っ張る存在になるのは間違いない。
しかし、実力が伴わない現状での起用がチームの不協和音を招き、ファンの信頼を失うのは野間本人にとってマイナスだ。
野村謙二郎前監督の寵愛を受けた堂林翔太の二の舞にならなければいいが。