黒田への思い

黒田博樹は2005年にセリーグ最多勝利の15勝を挙げた。
黒田にとって初めてのタイトル獲得になる。
2005年の広島カープは55勝84敗4分で6位。
1993以来、12年ぶりに最下位に落ちた。
第1次政権以来、2度目の最下位を経験した山本浩二監督は辞任。

同年に2000安打を達成した野村謙二郎は引退を表明した。
2005年の旧広島市民球場の観客動員数は1,050,119人(1試合平均14,385人)。
2015年のマツダスタジアムの観客動員数は2,110,266人(1試合平均29,722人)。
100万人を割った2003、2004年と比べれば観客動員数は増えているが、現在の半分にも満たない。
当時の写真を見ると、ガラガラの3塁スタンドを背景に黒田が投げている姿が映っている。

私も休みが取れる限り、広島市民球場に脚を運んだが、カープファンの一人として申し訳ない気持ちで一杯だった。
2005年秋、初タイトルを獲得した黒田のインタビュー記事(週刊ベースボールより)が見つかった。
当時の記事を抜粋してみる。

「今シーズン勝ち星が伸びたのは倉(義和)の存在が一番大きかった。
リード面を含めて全て任せ切りでした。
うまく引っ張ってもらったし、助けてもらいました。
倉と2人で成長できた1年だと思います」
「チームが最下位の中で、最多勝を獲得できたのは誇りに思います。
バッターでは新井(貴浩)がホームラン王を取った。
最多勝とホームラン王が最下位のチームが出るのは不思議なことですけど、
いい意味で胸を張らないといけないと思います」
「ファンの人たちにも自分が応援しているチームに、
タイトルを獲得した選手がいることに誇りを持ってほしいと思います」
「絶対に勝たなければいけない試合では強い気持ちで投げました。
来年はそういう試合を多くしていくことが大事だと思います」
29試合に登板して15勝12敗11完投、防御率3.17、投球回数212回2/3。
最下位でもチームのために、カープファンのために誇りを持って投げ切った。

勝てない時期に粉骨砕身の投球をする黒田に対して感謝の気持ちしかなかった*1
だからこそ、黒田が現役のうちにカープが優勝して良かった。
昨年、緒方監督に対して厳しく書いたのも、前田健太がいる2015年がラストチャンスだと思ったからだ。
黒田の今年初勝利は2年連続、マツダスタジアムで見届けた。
来年もマツダスタジアムで黒田が勝つ姿が見られることを切に願う。