「これがオーロマイスターだ」辻三蔵の「ウィークエンダー
 「エスポワールシチーを負かして、アメリカ遠征を断念させる。それぐらいの意気込みで臨む」大久保洋調教師の言葉に気迫が感じられた今年の南部杯。その言葉通り、オーロマイスターは2着エスポワールシチーに3馬身差つける快勝。1分34秒8はメイセイオペラが保持するコースレコードを0秒3更新した。レース当日はCS放送「スカパー!709ch」で解説していたが、オーロマイスター(4番人気)に本命を打っておきながら開口一番「驚きました…」と絶句するほどの圧倒的な強さだった。
 ただ、パドックから状態の良さが目立っていたのも確かだ。オーロマイスターを見た瞬間、思わず「素晴らしい!100点満点」と絶賛したぐらい、完璧な仕上がりだった。それに比べて、2番人気のテスタマッタは中間の調整が軽すぎて太目が絞り切れず、3番人気のバーディバーディは調教本数が少ないにも関わらず、マイナス8キロと体が減っていた。5番人気のセレスハントも佐賀、盛岡と遠征を繰り返すたびに馬体重が激減している。
 そして、1番人気のエスポワールシチーがプラス15キロ。昨年の南部杯を勝ったときが500キロ(プラス14キロ)だったが、今年は更に増えて511キロ。本番のブリーダーズCクラシック(11月6日)まで中4週のローテーション。レース翌日の12日に美浦トレセンの輸出検疫厩舎に入厩。17日まで滞在して、18日夜に成田からシカゴへ遠征する。現地に到着してからは微調整しかできないだけに9分近く、仕上げてくると思ったが、明らかに余裕を残した体付きだった。大久保洋調教師も「下見所で太いと思ったが、目方を見たらやはり重かった。この時点で勝負になると踏んだ」と振り返った。大久保洋調教師は「距離、回り、馬場と好走条件が揃っていた。勝つときは全て上手く行くものだ」と話していたが、南部杯に向けて万全に仕上げた陣営の尽力に因るものが大きい。
 それにしても情けないのは私である。番組上で勝負馬券を公表したが、1着◎オーロマイスター→2着○エスポワールシチー(40.7倍)の決着。馬単2点買いに絞ったにも関わらず、当たったのはわずか1000円。。。裏は6000円買っているのに弱気すぎる。番組スタッフから予想が本線で的中したので「辻さん、神ですね」と崇められたが、この世界に神なんていない…。
 今後、オールマイスターは堂々とG1路線を歩む。年内はJBCクラシックジャパンカップダート、そして来年はフェブラリーSが最大目標になる。大久保洋調教師は「G2、G3では斤量を背負うのでG1中心のローテーションになりそうだな。ドバイ?ダートはアッチの馬の方が強いだろ。オールウェザー?芝で勝っている馬だからな」とニヤリと笑った。