緒方野球の真髄

9月13日(火)中日対広島23回戦は広島カープが4対0で勝利。
10月12日(火)から始まる「クライマックスシリーズ ファイナルステージ」に向けて、最高のスタートを切った。
スターティングメンバーは以下の通り。
1番(遊)田中
2番(二)菊池
3番(中)丸
4番(一)新井
5番(中)鈴木
6番(三)ルナ
7番(左)エルドレッド
8番(捕)石原
9番(投)ジョンソン
1〜5番は9月11日の巨人戦で優勝を決めた不動のレギュラーメンバー
6、7番には4月16日以来、5か月ぶりにルナ、エルドレッドの両外国人野手が並んだ。

注目は8月13日以来、1カ月ぶりのスタメン復帰を果たしたルナ。
今年の先発出場56試合では4番を務めたが、今回は初めての6番起用。

緒方監督はオープン戦から打線をつなげるキーパーソンとしてルナを4番に抜擢した。
機動力が使える田中、菊池、丸の1〜3番、長打が打てるエルドレッド、新井の5、6番を結び付ける「つなぎの4番」として期待していた。
開幕から17戦は4番ルナ、5番エルドレッド、6番新井のスタメンを組み、10勝7敗とスタートダッシュを決める要因になった。
果たして、新・つなぎの打線は機能するのか。
優勝を決めた翌日の巨人戦は散漫な攻撃で集中力が欠如していただけに、打撃内容に着目した。

中日先発は広島戦で1勝3敗(4試合)防御率7.40の大野雄大
昨年の広島戦は1勝1敗(2試合)防御率0.87と相性が良かっただけに、雪辱に燃える一戦になるだろう。

2回表、5番鈴木が3塁線にセーフティーバントを決めて、ノーアウト1塁。
6番ルナはファウルを打ちながらタイミングを計り、レフト前にしぶとく運んだ。
ノーアウト1、2塁で7番エルドレッドは2ストライクに追い込まれた後、ボテボテの3塁ゴロを打ち、ランナーを2、3塁に進めた。
後続は倒れたが、両外国人野手の打撃につなぐ意識の高さを感じた。

4回表はワンアウト1、2塁で7番エルドレッド
1ストライク1ボールから軽打に徹し、ライト前ヒットを打った。
ワンアウト満塁で8番石原がタイムリー2ベースを放ち、1塁ランナーのエルドレッドが長躯ホームインを果たした。
エルドレッドが全力疾走で駆け抜けた姿に危機感が伝わってきた。
エルドレッドの8、9月の打撃成績は打率.203(64打数13安打)3本塁打8打点。
ルナの調子が上がれば、一軍残留も安泰ではない。

緒方監督の絶妙な一手は、ルナ昇格で出場機会が減る安部に奮起を促している。
8回表、打席に立った安部はボテボテのセカンドゴロを全力で走り、ヒットにした。
途中出場でも一打席の大切さを感じ、必死さが伝わってきた。

今日から1軍に昇格した下水流もボテボテの内野ゴロをヘッドスライディングでヒットにしている。
下水流はシーズン中盤に活躍したが、8月は打率.111(18打数2安打)と不振に陥り、8月15日に2軍落ちした。
ルナにも言えることだが、優勝決定時に1軍に呼ばれなかった悔しさを胸に生き残りに賭けている。

優勝決定試合で1軍に昇格した野間も必死だ。
9回表にはボテボテの2塁ゴロを全力疾走で内野安打にした。
代走、守備固めのスペシャリスト赤松はクライマックスを見据えて2軍で再調整している。
野間も1軍に定着するためには結果を出し続けるしかない。

消化試合でも競争心を煽り、チーム力向上につなげていく。
緒方監督が提唱した「つなぎの野球」が定着し、そして進化しているのを実感した試合だった。