「愚か者」辻三蔵の「ウィークエンダー
 「シーズンが終わった時によくやったぞ!と胸がはれるようなチーム作りとそんな監督になりたいです」昨年10月14日、野村謙二郎は監督就任記者会見*1でこう言い放った。あれから1年が経った。広島東洋カープは今日の敗戦で2005年に次ぐ、84敗(57勝、2分)を喫した。残り1試合を残して、野村謙二郎が引退した年の負け星に並んだ。
 「とにかく優勝を目指す!選手にもそういう気持ちで、Aクラスを目指すというのはやめてもらいます」野村謙二郎は記者会見で毅然と話した。しかし、結局、昨年の成績(65勝75敗4分)を大きく下回る結果になった。野村謙二郎は自分の発言にすら責任を取らない。地元最終戦ではマツダスタジアム最多となる3万2284人が来場したが、会釈しただけで挨拶すらなかった。パリーグカープと同じ5位に終わったオリックス(69勝71敗4分、成績は段違いだが…)の岡田監督は地元最終戦でファンに挨拶している。「優勝を目指す」と公言していながら過去10年で最低の勝率(.404)にも関わらず、挨拶をしないのはファンに失礼だ。
 昨日の神宮球場での敗戦では試合後、真っ先にベンチを飛び出して逃げるように帰ったという。「胸がはれるような監督になりたい」なら負けても堂々とすべきだ。選手に敗戦の責任を押し付けて、自らの非を全く認めない。ファンの怒号を受け止められないなら早く監督を辞めた方がいい。
 今日の試合、前田健太の好投も報われず、敗戦した。しかし、野村謙二郎は満足しただろう。9回表、岩本、栗原の連続ヒットでクルーンをノックアウトすると、なおもツーアウト1、2塁。2点差、ホームランが出れば、逆転のチャンス。ピッチャーは左の山口に変わる。バッターは5番嶋。巨人戦では打率.290、セ5球団最多の13打点を挙げている。しかし、野村謙二郎はシーズン序盤と同じように代打を出す。もちろん、出てくるのは野村謙二郎お気に入りのヒューバー。打率.220(80試合)、7本塁打、打点17、得点圏打率.146。今から1カ月前*2にヒューバーの話を書いたが、あれから1本のヒット、1打点も挙げていない。ヤクルト最終戦で先発予定のソリアーノを除いた外国人選手は帰国しているのになぜ一軍にいるのか。もし、来年もいるのなら狂気の沙汰としか思えない。
 もちろん、ヒューバーは野村謙二郎の期待に応えることもなく、山口の内角直球に詰まって、ボテボテのサードゴロ。真面目が取り柄のヒューバーらしく、全力疾走を見せたが、アッサリアウトになった。ある意味、ほっとしている。こんな所で打って、来年も残留したら、たまらない。野村謙二郎もヒューバーと心中できて本望だろう。これで思い残すことなく、やめられるはずだ。
 今日の試合で8三振を奪った前田健太はリーグ11年ぶりとなる、最多勝防御率奪三振を合わせた投手部門3冠を確実にした。セ・リーグ投手では6年ぶりとなる沢村賞獲得も見えてきたが、大野豊の功績では断じてない。昨年3.59だった防御率は4.81まで跳ね上がり、四球数は5年ぶりに500台を突破した。行き当たりばったりの投手起用はリリーフ陣の崩壊を招いた。序盤戦の登板過多で高橋建を引退に追いやり、一軍に上がったばかりの広池、森を絶体絶命の場面で起用して痛打を食らい、その結果、戦力外通告になった。投手の能力を見極められず、役割分担ができない投手コーチは必要ない。1年で投手コーチを辞めた達川政権同様、即刻責任を取るべきだ。
 大野豊は投手陣に対して「足りないところがあるのなら何でもしようと思わないといけない。例えば、本を読む。本から人の考えに触れるのは自分の視野を広げるにもいいことだ」と話している。その言葉をそっくり、野村謙二郎大野豊に伝えたい。とりあえず、PHP文庫から出版している『責任のとり方』か、講談社現代新書から出ている『「自己責任」とは何か』を読んで欲しい。三島由紀夫の『葉隠入門』も必須だ。もちろん、2007年・ブラウン語録カレンダーも忘れずに。「私は頑固だが、愚かではない」頑固で愚か者のあなたたちはブラウンから学んで欲しい。