生みの苦しみ

 辻三蔵カープ一筋36年。生まれたときからのカープファンである。どんなに打てなくても、どんなに負けても声を枯らしてカープを応援している。
 広島東洋カープが今日、球団ワーストタイとなる4試合連続完封負けを喫した。これで連続無得点記録は44イニングに伸び、セ・リーグ記録(1996年・ヤクルト、49イニング)の更新も見え始めた。しかし、記録というものは意識をした時点で途切れるものである。次の試合はオリックスの方がプレッシャーはかかるだろう。カープは4試合連続完封負けを喫しているのだから相手ピッチャーは抑えて当然だ。オリックス投手陣が「1点も取られてはいけない」状況に耐えられるのか。それ相応の重圧はかかるだろう。
 ましてや、カープ投手陣は無援護の中でも試合を作り、最近4試合での失点はわずか6失点。バリントンの安定感に前田健太の復調、堅調なリリーフ陣。投手陣の充実ぶりは今年に入って一番だろう。カープ投手陣は1点でも取られたら死活問題になるので必死に投げ抜く。根比べになれば、味方の拙攻に馴れているカープ投手陣の忍耐力の方が上だ。無得点のプレッシャーと戦っているのはカープだけではない。オリックスだって自分のチームが記録を止めることを恐れている。
 6連敗をして、どれだけ借金をしているかといえば、わずか2。これだけ負けても借金2は巨人と同じ。2位中日とは射程圏の2.5ゲーム差だ。昨年は開幕2試合目からいきなり7連敗。4月4日、8試合目で借金6を背負い、終戦した。今年は6月1日の時点で、借金2(4位)ならまだまだ上が目指せる。折り返しになるオリックス戦から仕切り直せばいい。投手陣が崩壊した昨年と比べれば、いくらでもやり直しは効くはずだ。
 4試合連続完封負けの野手陣は投手陣に対して申し訳ない気持ちが強いだろう。ただ、完封負け中に先発1失点で敗戦したバリントン前田健太、福井の負けは一つだけ。借りを返せる機会はすぐに巡ってくる。
 今年は14年ぶりにAクラス、そして20年ぶりに優勝ができるチャンスがある。私達カープファンは20年間、我慢し続けた。その我慢に比べれば、たった6連敗で今シーズンを諦める必要は全くない。4試合連続完封負けは今年のカープに訪れた最初の試練。生みの苦しみを乗り越えたとき、カープは一段と強くなる。そう信じている。